U-12

成長期の急な運動能力の低下『クラムジー』

「最近、急にドリブルがぎこちない…」「前はもっとシュートが入っていたのに…」小学生〜中学生のハンドボーラーを見ていると、ある時期からこうした“もどかしさ”が急に増えることってないですか?

それが、今回のテーマである 「クラムジー(clumsy)」=成長期特有の“動きのぎこちなさ” です。

今日は、たくさんの情報がある中からポイントをひとつに絞って、

「クラムジーは“下手になった”のではなく、身体がアップデート中なんだと理解すること」

この視点にフォーカスしてお話ししていきます 💡

保護者の方も、指導者の方も、「あ、うちの子のあの状態ってそういうことかも」と気持ちが軽くなるような内容を目指します。

スポーツの世界で使われる「クラムジー」は、
成長期に起こる一時的な運動能力の低下や、動きのぎこちなさ を指す言葉です。(クラムジーとは? 言葉の意味から具体的な対処法まで解説)

  • それまで普通にできていた動きがうまくできない
  • ボールをよく落とす、つまずく、転びやすい
  • 走るフォームが急にバラバラに見える
  • シュートタイミングやジャンプの感覚がズレる

といった変化が、特に 小学校高学年〜中学生(第二次性徴が始まる頃) にかけて起こりやすいとされています。(成長期におとずれる「クラムジー」に対して保護者と指導者は何をすべきか?)

この時期は、いわゆる「スランプ」として扱われてしまうことも多く、
子ども本人も「自分、下手になった…?」と落ち込んでしまいがちです。

クラムジーの本質は、とてもシンプルにいうと、

急に大きくなった身体と、昔のサイズのままの“身体イメージ”のズレ

だと説明されることが多いです。(スポーツ少年が抱える“クラムジー”について①)

身長と手足が一気に伸びる

成長期の子どもによっては、半年で10cm近く伸びる ケースもあります。(スポーツ少年が抱える“クラムジー”について①)
手足もその分長く・重くなり、重心位置も変わります。

しかし、脳が持っている「自分の身体の設計図(ボディイメージ)」は、すぐにはアップデートされません。

  • 以前と同じつもりでジャンプする
  • 以前と同じつもりでステップを踏む
  • 以前と同じつもりで腕を振ってシュートする

⬇️

結果として、
「あれ?さっきと同じように動いたつもりなのに、ずれた!」
という感覚が連発するのがクラムジーの正体です。

スポーツ科学の研究でも、思春期の急激な成長は、
一時的に動作の協調性を乱し、ぎこちない・不器用な動きとして現れることが報告されています。(The relationship between physical growth, the level of activity and the development of motor skills in adolescence: Differences between children with DCD and controls)

「下手になった」のではなく、「アップデート中」だと知ること

クラムジーへの向き合い方はいろいろありますが、
このブログでいちばん強調したいのはここです。

子どもは“下手になった”のではなく、
新しい身体に合わせて動きを“再インストール中”なだけ。

成長期の動きの変化を「サボっている」「集中していない」「気持ちが弱い」などのメンタルや根性だけの問題にしてしまうことは、今でも現場でよく起こっています。

でも実際には、

  • 身体のサイズが変わり
  • バランスの取り方が変わり
  • 関節の可動域や筋力バランスも変わり

それに脳と神経が追いついていないだけ であることが多いのです。

「成長の副作用」としてのクラムジー

あるnoteでは、

「成長期に一度獲得した動きが一時的にぎこちなくなる現象」
として、クラムジー(思春期不器用)が説明されています。(成長期に起こりやすい『動きのぎこちなさ』=『思春期不器用』の捉え方と解決策)

つまり、
クラムジーは“成長の副作用”であり、“伸びている証拠”でもある のです。


ハンドボールに絞ると、クラムジー期の子どもには、こんな変化が見られやすいです。

  • シュートの踏み切りタイミングがずれる
  • ゴール前でステップが合わず、踏み切り足を間違える
  • 1対1で抜いたあとに、自分でつまずいて転ぶ
  • パスの距離感が変わり、オーバーパス・ショートパスが増える
  • ジャンプの滞空時間が変わって、ブロックに当たりやすくなる

これらはすべて、

「身体イメージのズレ」がプレーとして表面化しているだけ

と考えると、見え方がガラッと変わります。

クラムジー期の子どもにとって、
一番しんどいのは「できないこと」そのものよりも、“できない自分を責めてしまうこと” です。

だからこそ、大人側にできる一番のサポートは、
技術やトレーニング以前に「見方と言葉を変えること」 だと考えています。

  • ×「最近、調子悪いな。スランプだな」
  • ○「今は成長のアップデート期間だね。身体が伸びた証拠だよ」

こんなふうに、
ネガティブなラベルを、ニュートラル〜ポジティブな言葉に置き換える だけでも、
子どもの受け止め方は大きく変わります。

成長スピードには個人差があり、

  • 急激に伸びる子
  • ゆっくり伸びる子
  • ほとんど影響が出ない子

など、本当にバラバラです。

なので、

  • 「同級生のあの子と比べて…」
    ではなく
  • 「1年前の自分と比べて、何ができるようになった?」

と、時間軸で比べる癖 をつけてあげられると◎です。

❸ ミスに対する声かけを変える

クラムジー期の典型的なNGワードは、例えばこんなものです。

  • 「ちゃんとやれ!集中して!」
  • 「前はできてたじゃん!」
  • 「なんでそんな簡単なミスするの?」

代わりに、こんな声かけを意識してみてください。

  • 「身長伸びたから、距離感が変わったね。ちょっとずつ合わせていこう」
  • 「今のミスは、身体がアップデート中の“誤差”だね」
  • 「いいチャレンジだったよ。次はどうしたらうまくいきそう?」

「責める言葉」から「一緒に調整していく言葉」へ。
これだけで、子どもの表情はかなり変わります 😊

「見方」と「言葉」を変えつつ、
練習も少しアレンジできると、クラムジー期を前向きに乗り越えやすくなります。

ここでは、ハンドボールの現場で取り入れやすい 3つの工夫 を紹介します。

① 距離・スピード・難易度を一段階下げてみる

身体が変わった今は、
“以前の設定”が少し高すぎるハードルになっているだけ のことが多いです。

  • シュート距離を少し短くする
  • パススピードを落として、コントロール重視にする
  • 1対1ではなく、まずは「ディフェンス付きのシュート」から始める

「できない練習」にとどまらず、
“今の身体でも成功しやすい設定”に一度戻す ことで、
再び成功体験を積み重ねることができます。

② コーディネーショントレーニングを混ぜる

クラムジー期は、神経系にとって「再学習のチャンス」でもあります。

  • ラダー、マーカーを使ったステップワーク
  • ボール2個を使ったキャッチ&パス
  • 片足立ちでのパスキャッチ
  • ジャンプ+ツイスト(回旋)を組み合わせた動き

など、バランス・リズム・反応 を刺激する遊び的なメニューは、
子どもの「身体と脳の再同期」を助けてくれます。

③ 「できた瞬間」をオーバーに褒める

クラムジー期の子は、自分の失敗に敏感になっているので、
大人は意識的に「成功した瞬間」を強調してあげること が大切です。

  • 「今のステップ、さっきより明らかにスムーズだったよ!」
  • 「ジャンプのタイミング、かなり良くなってきたね!」

と、“変化そのもの”に目を向けて声をかけることで、
子どもは「自分は前に進めている」と実感できます 🌱

クラムジーの期間には個人差がありますが、
指導者の経験則として 数ヶ月〜1年程度続くケースもある とされています。

ただし、多くの場合は、

  • 身長の伸びが落ち着く
  • 今の身体サイズでの運動経験が増える

ことで、 徐々に動きは安定し、むしろ一気に伸びる“ジャンプアップ期”が訪れる ことも少なくありません。

だからこそ、
この「ぎこちない時期」をどう乗り越えるか が、
その後のハンドボール人生やスポーツの楽しさに大きく関わってきます。

平塚ハンドボールクラブのように、小学生〜中学生の育成年代を見ていると、
クラムジーの時期は ほとんどの子が通る“当たり前の通過点” だと感じます。

だからこそ、

  • ミスが増える時期も「成長のサイン」として一緒に笑えること
  • 保護者・指導者が「今はアップデート中」と冷静に見守れること
  • 子ども自身が「いつか絶対に抜ける」と信じて続けられること

この3つがそろえば、クラムジーは “つらい時期”ではなく、“大きく伸びる前の助走” になっていきます。

最後に、成長期のハンドボーラーのプレーイメージをふくらませるために、
小学生世代のハンドボール大会の試合動画 を1本ご紹介します。

▶️ 第46回九州小学生親善ハンドボール大会 男女準決勝・決勝

全国・地域の小学生たちが、全力でプレーしている姿を見ると、

  • 「うちの子も、ああいうふうに成長していく途中なんだな」
  • 「今のぎこちなさも、きっとこのレベルに近づくためのステップなんだ」

と、少し長い目で子どもを見守れるヒントになるはずです 👀✨

今日の内容を、一言でまとめると…

クラムジー=“下手になった時期”ではなく、“新しい身体に慣れるアップデート期”。

この視点さえ共有できれば、

  • 保護者の不安も
  • 子どもの自己否定も
  • 指導者のイライラも

少しずつ和らいでいきます。

そして、その期間を一緒に乗り越えた先には、
今までよりも大きく・力強く・しなやかに動けるハンドボーラー が待っています。

  • お子さんの成長期の悩みを相談したい
  • クラムジーを抱えているかもしれないが、どう練習したらいいか知りたい
  • 小学生・中学生でハンドボールを始めてみたい

という方は、お気軽にお問い合わせください。

👉 平塚ハンドボールクラブ お問い合わせフォーム
https://www.hiratuka-handball.com/inquiry/

一緒に、成長期ならではの“アップデート期間”を、前向きに乗り越えていきましょう! 💪🔥

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