【保護者向け】裸足で走るトレーニングは子どもの発育発達にどう関わる?🧐
「裸足で走ると足が強くなるって本当?」
「子どもにとって良い練習なの?それとも危ないの?」
そんな疑問を持つ保護者の方は多いと思います😊
結論からお伝えすると、裸足でのダッシュ・トレーニング(以下、スプリントとは”ダッシュ”のことです!)は、子どもの“身長が伸びる”といった意味での発育を直接高めるとまでは言えません。ただし、足の形や使い方、地面との接し方、バランス、跳ぶ力、走り方といった“動きの発達”に関わる可能性はあると考えられています。今回確認した主要研究も、身長や骨の成長そのものより、足部の発達・走りの バイオメカニクス(動きのしくみ)・運動能力の発達を扱ったものが中心でした。
ここで大切なのが、発育と発達の違いです。
このブログでは、発育を「体が大きくなること」、発達を「体の使い方が上手になること」と考えてください。裸足スプリントで主に期待されるのは、後者の“発達”の部分です✨
まず、子どもの足は成長の途中です。2023年のレビューでは、子どもの靴は足の健康や歩き方・走り方の発達に影響すると整理されています。つまり、靴を履くか裸足かは、単なる好みではなく、足の育ち方や動き方に関わる環境要因のひとつだということです。 (Wang et al.,2023)
実際に、6〜18歳の子どもを対象にした研究では、ふだん裸足で過ごすことが多い子どもは、足のアーチ(土踏まず)や足指の並び方に違いがみられ、足の発達に影響している可能性が示されました。研究者たちは、こうした違いが将来的な運動学習や健康にも長期的な影響を持つかもしれないと述べています。 (Hollander et al., 2017)
では、「裸足でスプリント練習をすると走る力は伸びるのか?」という点はどうでしょうか。
この点は少し丁寧に見る必要があります。
まず、その場ですぐ裸足で走らせると速くなるわけではありません。6〜12歳の、普段は靴を履いて生活している子どもを対象にした研究では、裸足での全力疾走は、靴ありよりもスピードが低く、歩幅が短くなり、接地時間も短くなることが示されました。また、かかとから着く走り方が減って、足の前側〜真ん中で着く走り方に変わりやすいことも確認されています。つまり、裸足は子どもの走り方をその場で変えるのですが、“即効で速くする”とは言えないのです。 (Mizushima et al., 2018)
一方で、長い目で見た研究は希望があります。4年間、学校で日常的に裸足ランニングを取り入れていた子どもたちは、対照群と比べて、スプリント時の接地時間が短く、空中にいる時間が長く、跳びはねる能力(リバウンドジャンプ)も高いという特徴がありました。研究者は、裸足を取り入れた学校プログラムが、スプリントの動き方や、すばやく弾む能力の発達に良い影響を与える可能性があるとまとめています。 (Mizushima et al., 2021)
ここで出てくるのが、少しだけ専門用語です。
接地時間は、足が地面についている時間のことです。短すぎても長すぎても良いとは言い切れませんが、スプリントでは「必要以上に地面にべったり乗らず、素早く反発をもらえるか」が大切になります。
また、伸張‐短縮サイクル(SSC)とは、着地で筋肉や腱がいったん“伸ばされ”、その直後に“縮んで跳ね返す”しくみのことです。ジャンプやダッシュの切れ味に関わる、大事な体の働きです。裸足ランの学校研究では、この“すばやく弾む力”の発達が示唆されています。(Mizushima et al., 2021)
さらに、小学5年生前後の男児を調べた研究では、足の前側や真ん中で接地する子どものほうが、かかと接地の子どもよりも速く走り、接地時間も短いことが報告されています。ただし、これは「前足部接地にすれば必ず速くなる」という意味ではありません。あくまで走力の高い子にそうした特徴が見られたという“関連”です。フォームは、成長や筋力、経験、リズム感など、さまざまな要因で決まります。 (Miyamoto et al, 2018)
そして、保護者の方に最も大切なのがここです。
裸足スプリントは、やり方を間違えると負担も増えます。
2024年の若年者研究では、普段靴を履いている子どもが裸足やミニマルシューズで走ると、AVLR(地面からの衝撃がどれだけ急に体へ入るかを見る指標)が大きく増えたと報告されています。研究者は、急な移行には注意が必要だと述べています。つまり、裸足は“自然だから絶対安全”ではありません。 (Traut et al., 2024)
ここまでをまとめると、
裸足スプリントには、足部の発達、接地の感覚、バランス、ジャンプの弾み、走り方の学習にプラスの可能性があります。
ただし、すぐに速くなるわけではなく、急に増やすと負担が強くなる可能性もある。この「メリットもあるけれど、進め方が大事」というのが、今のエビデンスに最も近い答えです。 (Zech et al., 2018)
保護者の方が実践面で意識したいのは、
「長く裸足で走る」よりも、まずは短時間・安全な環境で、足の感覚を育てることです。
たとえば、清潔で安全な人工芝や体育館などで、ウォーミングアップの一部として短い距離を少しだけ行う、という考え方は取り入れやすいです。痛み、違和感、足裏の傷、ふくらはぎの強い張りがあれば無理をしないことも大切です。裸足は“特別な練習”ではなく、子どもの足と動きを育てるための、ひとつの刺激として考えるのがちょうど良いと思います🌱
ハンドボールは、走る・止まる・切り返す・跳ぶをたくさん繰り返す競技です。だからこそ、足元の感覚づくりはとても大切です。平塚ハンドボールクラブでも、こうした体の土台づくりを大切にしながら、楽しく成長できる環境を目指しています。
小学生はもちろん、中学生も経験を問わずメンバー募集中です。
「ハンドボールは初めて」というお子さんも大歓迎ですので、ぜひ気軽に見学・体験にお越しください😊
【あわせて見たい動画】
【参考にした主な研究】
Mizushimaら(2021)学校での裸足ランニング習慣とスプリント biomechanics
Zechら(2018)裸足で育つことと子どもの運動能力発達
Hollanderら(2017)裸足習慣と子どもの足部形態の発達
Wangら(2023)子どもの靴と足・歩行発達に関するレビュー
Trautら(2024)若年者の裸足/ミニマルシューズ走行の biomechanics
Miyamotoら(2018)小学生の接地パターンとスプリント能力の関連
