【研究論文で解説】小学生のスマホ使用が増えすぎるとどうなる?🧐
はじめに|スマホは便利。でも「使いすぎ」は子どもの生活の土台を崩すことも
今やスマートフォンやタブレットは、連絡手段だけでなく、学習、動画視聴、ゲーム、調べものなど、子どもたちの生活にも自然に入り込んでいます。便利な道具である一方で、保護者の方からは、
「小学生にスマホをどこまで使わせてよいの?」
「動画やゲームの時間が長くて心配」
「寝る直前まで見ていて大丈夫?」
といった声もよく聞かれます。
これまで平塚ハンドボールクラブのブログ「ハンドボールの魅力、伝えます!」では、走る・投げる・跳ぶ楽しさ、仲間と協力する面白さなどを紹介してきました。今回は少し視点を変えて、子どもたちが元気に成長し、スポーツや学びに前向きに取り組むために大切な“スマホとの付き合い方”を、研究論文をもとにわかりやすく解説します😊
なお、研究では「スマホ単体」ではなく、スマートフォン・タブレット・ゲーム機・テレビなどを含むスクリーンタイムとして分析されることが多いため、本記事もその知見を踏まえて整理していきます。 (Digital Screen Time and Myopia A Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis)
結論|問題は「スマホを持つこと」よりも、「何を押しのけて使っているか」です
研究をまとめると、小学生年代のスマホ使用で特に注意したいのは、次の4点です。
- 睡眠時間や睡眠の質が下がる
- 体を動かす時間が減る
- 目の健康、特に近視リスクと関連する
- 心の状態や人との関わりに影響する可能性がある
ただし大切なのは、スマホそのものが絶対に悪いわけではないということです。
問題になりやすいのは、
- 寝る直前まで使う
- 自分でやめられない
- 外遊びや運動、家族との会話、睡眠を削って使う
といった使い方です。実際、日本の小学生を対象にした研究では、端末を持っていること自体よりも、「予定より長く使ってしまう」「やめようとしてもやめられない」といった利用パターンの方が、睡眠問題と関連していました。 (Sleep problems, sleep duration, and use of digital devices among primary school students in Japan)
1.寝る前のスマホは、子どもの睡眠にかなり影響しやすい😴
小学生年代で最も気をつけたいのが、睡眠への影響です。
6〜19歳を対象にしたシステマティックレビュー・メタ分析では、寝る時間帯にスマホやタブレットなどの携帯型メディア機器を使っている子どもは、
- 睡眠時間が不足する可能性:約2.17倍
- 睡眠の質が悪くなる可能性:約1.46倍
- 日中の強い眠気が出る可能性:約2.72倍
と関連していました。さらに興味深いのは、実際に使っていなくても、寝室に端末があるだけで睡眠不足や眠気と関連していたことです。 (Association Between Portable Screen-Based Media Device Access or Use and Sleep Outcomes: A Systematic Review and Meta-analysis)
また、日本の公立小学校20校、約6,900名を対象にした研究でも、スマホやデジタル機器の使い方と睡眠問題の関連が確認されています。特に、「使う量をコントロールしにくい」「予定以上に使ってしまう」「嫌な気分から逃げるために使う」といった傾向がある子どもほど、睡眠上の問題を抱えやすいことが示されました。 (Sleep problems, sleep duration, and use of digital devices among primary school students in Japan)
小学生、特に6〜12歳は、1日あたり9〜12時間の睡眠が推奨されています。成長期の睡眠は、翌日の集中力だけでなく、体力回復や生活リズムの安定にも欠かせません。 (Consensus Statement of the American Academy of Sleep Medicine on the Recommended Amount of Sleep for Healthy Children: Methodology and Discussion)
家庭でできる工夫
- 寝る1時間前にはスマホ・タブレットを終える
- 寝室には持ち込まない
- 充電場所をリビングにする
- 「夜9時以降は見ない」など、家庭でわかりやすいルールを決める
こうした小さな工夫が、子どもの睡眠を守る大きな一歩になります🌙
2.スマホ時間が増えると、運動時間が減りやすい🏃♂️
次に大切なのが、体を動かす時間との関係です。
子どもを含む家族を対象としたランダム化比較試験では、余暇のスクリーン時間を大きく減らす取り組みを2週間行ったところ、子どもたちの座っていない活動時間が1日あたり約45分増加しました。つまり、スマホや動画、ゲームの時間を減らすことで、体を動かす時間が自然に増える可能性が示されたのです。 (Effects of Limiting Recreational Screen Media Use on Physical Activity and Sleep in Families With Children A Cluster Randomized Clinical Trial)
WHOは、5〜17歳の子どもに対して、1日平均60分以上の中高強度の身体活動を推奨し、あわせて「座りすぎ、特に娯楽目的のスクリーンタイムを減らすこと」を勧めています。 (世界保健機関|WHO guidelines on physical activity and sedentary behaviour)
小学生年代は、走る・跳ぶ・投げる・止まる・方向転換するといった、将来の運動能力の土台を育てる大切な時期です。ハンドボールは、まさにこれらの動きが自然に身につくスポーツです✨
スマホを完全に禁止する必要はありません。
しかし、「今日は動画を30分見たから、そのあと外で遊ぼう」
「ゲームの前に少し体を動かそう」
といったバランス感覚を育てることは、とても大切です。
3.長いスクリーン時間は、近視リスクとも関連する👀
近年注目されているのが、スクリーンタイムと近視の関係です。
2025年に発表された大規模なメタ分析では、45研究・約33万5,000人を対象に検討した結果、デジタル画面を見る時間が1日1時間増えるごとに、近視である可能性が約21%高くなる関連が示されました。特に、1〜4時間の範囲でリスクの上昇が目立っていました。 (Digital Screen Time and Myopia A Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis)
もちろん、この結果は主に観察研究に基づくため、「スマホが直接近視を引き起こす」と断定するものではありません。
ただし、長い画面視聴が続く生活は、
- 近くを見る時間が増える
- 外で過ごす時間が減る
- 遠くを見る機会が少なくなる
といった生活の偏りにつながりやすいことは考えられます。
実際、6歳の子どもを対象に、学校での屋外活動を1日40分追加した研究では、3年後の近視発症率が低下しました。外に出て遊ぶことそのものが、目の健康にとっても大切である可能性が示されています。 (Effect of Time Spent Outdoors at School on the Development of Myopia Among Children in China A Randomized Clinical Trial)
「スマホを減らそう」だけでなく、
「外で遊ぼう」「ボールを投げよう」「走ってみよう」
という前向きな時間の置き換えが大切ですね😊
4.心の状態や友だちとの関わりにも影響する可能性がある
スクリーンタイムとメンタルヘルスの関係は、まだ研究が進行中の分野です。
ただし、家族単位で余暇のスクリーン時間を2週間減らしたランダム化比較試験の二次解析では、子どもたちの
- 不安や落ち込みなどの内面化症状
- 友人関係に関する困りごと
- 向社会的行動
に、良い変化が確認されました。研究では、スクリーン時間を減らしたグループの方が、全体的な行動上の困りごとが改善していました。もっとも、長期的に同じ効果が続くかは、今後の検討が必要です。 (Screen Media Use and Mental Health of Children and Adolescents A Secondary Analysis of a Randomized Clinical Trial)
スマホは便利なつながりの道具ですが、子どもの成長には、
- 友だちと直接遊ぶ
- 仲間と声を掛け合う
- 悔しさや嬉しさをリアルに共有する
- 体を動かしながら成功体験を積む
といった時間も欠かせません。
ハンドボールのようなチームスポーツには、こうしたリアルな関わりがたくさんあります。
ゴールが決まったときにみんなで喜ぶ。
失敗した仲間に「次いこう!」と声をかける。
こうした経験は、画面の中だけでは得にくい、大切な成長の機会です✨
5.「スマホ=成績低下」とは言い切れない。でも、使い方は大切📚
学習面については、少し丁寧に見る必要があります。
2019年のシステマティックレビュー・メタ分析では、テレビ視聴やビデオゲームの長時間利用は、子ども・若者の学業成績と負の関連を示しました。一方で、全体的なスクリーンメディア時間が一律に成績低下と結びつくわけではなく、スマホ利用時間そのものについては研究が十分ではないと整理されています。 (Association Between Screen Media Use and Academic Performance Among Children and Adolescents A Systematic Review and Meta-analysis)
つまり、
- 学習動画を見る
- 家族と調べものをする
- 学校の課題に使う
といった利用と、
- 目的なく動画を見続ける
- 夜遅くまでゲームをする
- 勉強や睡眠を削って使う
という利用は、同じ「画面を見る時間」でも意味が異なります。
大切なのは、時間だけでなく、内容・タイミング・何を犠牲にしているかを見ることです。
家庭でできる「スマホとの上手な付き合い方」5つ🌱
最新の小児医療の考え方でも、単に「何時間まで」と決めるだけでなく、子どもの発達段階やコンテンツの質、家族の対話、生活への影響を見ることが重視されています。 (Connecting policy to practice: How to implement the new AAP digital media guidelines)
① 寝る前のスマホをやめる
まずはここが最優先です。
夜のスマホを整えるだけでも、睡眠リズムは守りやすくなります。
② 「先に大事なこと」を終えてから使う
睡眠、食事、宿題、外遊び、運動。
これらを済ませたうえでスマホを使うルールにすると、生活が崩れにくくなります。
③ 子どもだけに我慢させない
大人も食卓ではスマホを置く、寝室に持ち込まないなど、家庭全体でルールを共有すると続きやすくなります。
④ “全部禁止”ではなく、“目的をはっきりさせる”
連絡、学習、動画、ゲーム。
何のために使うかを一緒に考えることで、子ども自身が使い方を振り返りやすくなります。
⑤ 画面の外に「夢中になれる時間」を作る
スポーツ、外遊び、友だちとの活動、家族との会話。
スマホを減らすだけではなく、それ以上に楽しいリアルな体験を増やすことが大切です😊
まとめ|スマホを敵にせず、子どもの成長を守る使い方を
小学生年代のスマホ使用について、研究から見えてきた大切なポイントは、
- 寝る前の使用は睡眠に悪影響を与えやすい
- 使いすぎると運動時間が削られやすい
- 長いスクリーンタイムは近視リスクとも関連する
- 心の状態や人との関わりにも影響する可能性がある
- ただし、問題は「スマホそのもの」ではなく「使い方」にある
平塚ハンドボールクラブでは、現在、小学生を中心に活動しながら、将来的な中学生年代のチームづくりも見据えています。
経験の有無を問わず、小学生・中学生の選手を募集しています!
「運動が得意ではないけれど、何か始めてみたい」
「スマホやゲーム以外に、夢中になれる時間を作ってあげたい」
「仲間と一緒に成長できる環境を探している」
そんなご家庭にも、ハンドボールはとてもおすすめです🤾♂️✨
走る、投げる、跳ぶ。
そして、仲間と笑い合う。
子どもたちの毎日を、もっと健康的に、もっと前向きに。
そのきっかけとして、ぜひハンドボールに触れてみてください!
