【保護者必見】家庭でできる小学生の熱中症対策〈ドリンク編〉|水・スポーツドリンク・経口補水液の正しい使い分け

夏のスポーツでは、「何を飲ませれば熱中症を防げるの?」と迷う保護者の方も多いのではないでしょうか。
水、スポーツドリンク、経口補水液は、見た目こそ似ていますが、目的や成分が異なります。
大切なのは、「暑い日はすべてスポーツドリンク」「経口補水液を飲めば安心」と決めつけず、運動時間、発汗量、体調に合わせて飲み物を選ぶことです。
前回の記事では、練習前の体調確認、暑さ指数「WBGT」、休憩、応急処置など、熱中症対策の全体像をご紹介しました。
今回は「家庭で準備するドリンク」に焦点を当て、研究論文や公的ガイドラインをもとに、保護者の皆さまが実践しやすい形で解説します☀️
結論:基本は水、条件によってスポーツドリンクです
子どもの水分補給では、すべての場面で特別な飲み物が必要なわけではありません。
日常生活や短時間・低強度の運動では、水が基本です。一方、暑い環境での長時間の練習や、大量に汗をかく活動では、水分と一緒に塩分や糖質を補給できるスポーツドリンクが役立つ場合があります。
小児科領域のポジションステートメントでも、通常の遊びや運動では水を第一選択とし、スポーツドリンクは長時間かつ高強度の活動などに限定して活用することが推奨されています。 (Canadian Paediatric Society)
| 状況 | 飲み物の目安 |
|---|---|
| 日常生活・登校・通常の外出 | 水、無糖の飲み物 |
| 短時間の軽い運動 | 基本は水 |
| 暑い体育館・屋外で大量に汗をかく | 水またはスポーツドリンク |
| 1時間以上の練習や大会 | スポーツドリンクも選択肢 |
| めまい、頭痛、吐き気など脱水が疑われる | 活動を中止して冷却し、状況により経口補水液 |
| 反応がおかしい・自力で飲めない | 飲ませず、すぐに救急要請 |
スポーツドリンクは「成分表示」を見て選びましょう
日本スポーツ協会の「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」では、暑い環境で大量に汗をかく場合、飲料に次の成分を含むことが推奨されています。
- 食塩濃度:0.1~0.2%程度
- 糖質濃度:4~8%程度
- 飲料の温度:5~15℃程度
栄養成分表示では、100ml当たり「食塩相当量0.1~0.2g」「炭水化物4~8g」が、おおよその目安になります。特に1時間以上の運動では、糖質がエネルギー補給と水分補給の両方に役立つとされています。
反対に、糖質濃度が高すぎる飲み物は胃に残りやすく、運動中の水分吸収に適さない可能性があります。糖質8%を超えるスポーツドリンクでは、胃から腸へ移動する速度や水分吸収が遅くなる可能性が報告されています。 (Canadian Paediatric Society)
粉末タイプを使う場合は、濃すぎたり薄すぎたりしないよう、パッケージに記載された水の量を守りましょう。
「糖分が気になるから」と自己判断で大幅に薄めると、糖質だけでなく塩分濃度も下がります。運動用として使う場合は、表示どおりに作ることが基本です。
味があると、子どもが飲みやすくなることもあります
子どもは練習や遊びに夢中になると、飲水を後回しにしてしまうことがあります。
10~12歳の男児を対象とした研究では、味と糖質、塩分を含む飲料を用意することで自発的な飲水量が増え、暑い環境での脱水を防ぎやすくなったことが報告されています。
つまり、スポーツドリンクの利点は、電解質やエネルギーの補給だけではありません。「子どもが飲みやすく、必要な量を摂取しやすい」という点も重要です。 (Consistency in preventing voluntary dehydration in boys who drink a flavored carbohydrate-NaCl beverage during exercise in the heat)
ただし、普段の水代わりとして毎日飲ませる必要はありません。スポーツドリンクは糖質を含むため、日常的な摂取は虫歯や余分なエネルギー摂取につながる可能性があります。
「練習や大会で必要なときに使う飲み物」と考えると分かりやすいでしょう。
家庭で作る簡易スポーツドリンク
市販のスポーツドリンクが用意できない場合は、家庭にある材料でも簡易的な飲料を作れます。
日本スポーツ協会が示す「食塩0.1~0.2%、糖質4~8%」という範囲から換算すると、最も低い濃度の組み合わせは次のとおりです。
1リットル分の目安
- 水:1リットル
- 砂糖:40g
- 食塩:1g
- レモン果汁:好みに応じて少量
食塩1gは種類によって体積が異なるため、可能であればキッチンスケールで測りましょう。
これは健康な子どもが運動時に水分・塩分を補給するための「簡易スポーツドリンク」です。治療用の経口補水液ではありません。
体調不良や脱水症状がある場合に、自己流の飲料だけで対応することは避けてください。
経口補水液は「日常の水分補給」ではありません
経口補水液は、一般的なスポーツドリンクよりもナトリウムやカリウムを多く含み、脱水時に水分と電解質を吸収しやすいように設計された、病者向けの飲み物です。
消費者庁は、脱水状態ではない人が普段の水分補給として日常的・大量に飲むものではないと注意を呼びかけています。また、製品によって対象となる脱水の原因が異なるため、熱中症に使用する場合は、パッケージの表示を確認する必要があります。 (消費者庁)
経口補水液は「予防のために毎日飲むもの」ではなく、「脱水が疑われるときに適切に使用するもの」と覚えておきましょう。
なお、熱中症が疑われる子どもに、呼びかけへの反応がおかしい、自力で飲めない、繰り返し吐いているといった症状がある場合は、無理に飲ませてはいけません。すぐに救急車を呼び、身体の冷却を始めてください。 (厚生労働省)
エナジードリンクとスポーツドリンクは別物です
名前に「エネルギー」と入っているため混同されやすいのですが、エナジードリンクは運動時の水分補給を目的とした飲み物ではありません。
エナジードリンクにはカフェインなどの刺激成分が含まれていることが多く、子どもや中学生の熱中症対策ドリンクとしては適していません。
スポーツドリンクは水分、糖質、電解質の補給を目的としていますが、エナジードリンクは眠気の軽減や覚醒感を目的とした別の飲み物です。子どもの水筒に入れる飲み物として選ばないようにしましょう。 (Canadian Paediatric Society)
「何ml飲むか」より、飲める仕組みを作りましょう
必要な水分量は、体格、運動強度、練習時間、気温、湿度、発汗量によって大きく変わります。そのため、すべての子どもに同じ量を当てはめることはできません。
日本スポーツ協会は、運動後の体重減少を運動前の体重の2%以内に抑えることを一つの目安としています。例えば体重30kgの子どもであれば、2%は約600gです。練習前後でそれ以上体重が減っている場合は、水分補給が足りていなかった可能性があります。
家庭では、次のような準備がおすすめです。
- 出発前から少しずつ水分を取る
- 練習時間に対して十分な量を持たせる
- 長時間の大会では予備の飲み物も準備する
- 飲み物を冷たい状態で持たせる
- 帰宅後に水筒の残量を確認する
- 子どもに「具合が悪くなる前に飲んでよい」と伝える
特に小学生は、自分で水筒の残量や体調を管理することが難しい場合があります。
「自由に飲んでいいよ」と伝えるだけではなく、保護者と指導者が協力し、決まったタイミングで飲水休憩を設けることが大切です😊
ドリンクは熱中症対策の一部分です
どれだけ適切な飲み物を準備しても、危険な暑さの中で無理に運動を続ければ、熱中症を完全に防ぐことはできません。
水分補給に加えて、睡眠、食事、暑さへの慣れ、WBGTの確認、こまめな休憩、身体の冷却を組み合わせることが重要です。
安全対策は、子どもたちの挑戦を止めるためのものではありません。
適切な準備と休憩があるからこそ、子どもたちは最後まで笑顔でハンドボールを楽しめます🤾♀️✨
平塚ハンドボールクラブでは、ハンドボール経験の有無を問わず、小学生・中学生の選手を募集しています。
運動が得意な子はもちろん、「球技は初めて」「スポーツに少し苦手意識がある」というお子さまも大歓迎です。
今回のおすすめ動画
親子で動画を見ながら、「大会の日はどんな飲み物を準備しようか?」と話し合ってみるのもおすすめです!
参考文献・資料
- 日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」
- Wilk B, Bar-Or O. Consistency in preventing voluntary dehydration in boys who drink a flavored carbohydrate-NaCl beverage during exercise in the heat. Int J Sport Nutr. 1998.
- Wilk B, Bar-Or O. Effect of drink flavor and NaCl on voluntary drinking and hydration in boys exercising in the heat. J Appl Physiol. 1996.
- Canadian Paediatric Society. Energy and sports drinks in children and adolescents.
- 消費者庁「経口補水液について」
- 厚生労働省「熱中症の応急処置」
- 平塚ハンドボールクラブ「小学生の熱中症対策を科学で解説」
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。持病がある場合、医師から水分・塩分・糖質の制限を受けている場合は、飲料の選択について医師や管理栄養士、薬剤師などへご相談ください。意識や言動に異常がある場合、自力で水分を摂取できない場合、症状が改善しない場合は、速やかに救急要請または医療機関への相談を行ってください。
