子どもにゲームをさせても大丈夫?研究から考えるメリット・注意点と家庭で大切な5つの教育的観点
子どものゲームは本当に悪いのでしょうか。認知機能、問題解決力、睡眠、運動不足、親子関係に関する研究をもとに、ゲームを教育につなげる家庭のルールづくりを平塚ハンドボールクラブがわかりやすく解説します。
「ゲームばかりしていて大丈夫かな?」
「禁止した方が勉強やスポーツに集中できるのでは?」
「約束の時間になっても、なかなかやめてくれない……」
小学生・中学生のお子さまがいるご家庭では、一度はこのように悩んだことがあるのではないでしょうか。
ゲームは、子どもにとって楽しい遊びの一つです。一方で、長時間のプレーによって睡眠や運動、宿題などに影響が出ることもあります。
だからこそ大切なのは、ゲームを「良いもの」「悪いもの」と単純に決めることではありません。
どのようなゲームを、どのような環境で、何を守りながら楽しむのか。
今回は、子どもにゲームをさせるうえで保護者の方に知っていただきたい教育的な観点を、研究論文をもとに整理します🎮✨
※この記事で扱う「ゲーム」は、主にテレビゲーム、スマートフォンゲーム、オンラインゲームなどのデジタルゲームを指します。
1.ゲームには「試して、失敗して、工夫する」仕組みがある
ゲームの大きな特徴は、失敗してもすぐに再挑戦できることです。
「この方法ではクリアできなかった」
「次は別の道具を使ってみよう」
「相手の動きを見て、タイミングを変えてみよう」
このように、ゲームの中では自然に仮説を立て、行動し、結果を確認して、再び工夫する流れが生まれます。
小学生を対象とした教育ゲームの研究をまとめたシステマティックレビューでは、適切に設計された教育ゲームが、プログラミングの基礎や問題解決、コンピュテーショナル・シンキングなどの学習を支える可能性が報告されています。一方で、すべてのゲームに同じ教育効果があるわけではなく、ゲームの内容や設計、指導方法によって結果が異なることにも注意が必要です。
引用1:小学生の教育ゲームとコンピュテーショナル・シンキングに関するシステマティックレビュー
つまり、ただ長時間プレーすれば考える力が伸びるのではありません。
「何を考えたの?」
「どうして、その方法を選んだの?」
「次にやるなら、どこを変える?」
ゲームの後にこのような会話をすることで、子どもは自分の考えを言葉にしやすくなります😊
2.一部の認知機能と関係する可能性はあるものの、過大評価は禁物です
9~10歳の子ども2,000人以上を調査した研究では、ゲームをする子どもは、ゲームをしない子どもと比べて、反応を抑える課題やワーキングメモリの課題でわずかに良い成績を示しました。
ただし、この研究は「ゲームをすれば頭が良くなる」と証明したものではありません。
もともと特定の認知課題が得意な子どもがゲームを好んでいる可能性もあり、確認された差も非常に小さいものでした。また、ゲームをする子どもでは、注意や心理面に関する得点が高い傾向も報告されており、良い面だけを切り取らないことが重要です。
引用2:子どものゲーム利用と認知課題の関連
ゲームは、注意力や判断力を伸ばすための「万能な教材」ではありません。
しかし、ルールを理解し、状況を予測し、選択肢の中から行動を決める経験が含まれていることも事実です。
大切なのは、ゲームだけに成長を任せるのではなく、読書、会話、外遊び、勉強、スポーツなど、さまざまな経験を組み合わせることです。
3.見るべきなのは、時間だけでなく「何が失われているか」です
ゲームについて話し合うとき、どうしても「1日何時間まで?」という数字だけに注目しがちです。
もちろん時間の管理も必要ですが、それ以上に大切なのは、ゲームによって生活の何が押し出されているかです。
- 寝る時間が遅くなっていないか
- 朝起きられなくなっていないか
- 食事や入浴を後回しにしていないか
- 宿題や準備に支障が出ていないか
- 外遊びやスポーツの時間が減っていないか
- 家族や友達との会話が減っていないか
問題のあるゲーム利用と睡眠に関する34件の研究、合計約5万2,000人をまとめたメタ分析では、問題のあるゲーム利用は、睡眠時間の短さ、睡眠の質の低下、日中の眠気、睡眠問題と関連していました。
引用3:問題のあるゲーム利用と睡眠に関するメタ分析
米国小児科学会の2026年の方針でも、デジタルメディアの影響は単純な利用時間だけでは判断できず、コンテンツの質やサービスの設計、睡眠や運動などの健康的な行動が失われていないかを見ることが重要だとされています。
引用4:子どもを取り巻くデジタル環境に関する方針
家庭では「ゲームは何分まで?」だけでなく、睡眠・食事・勉強・運動が守られているかを確認してみましょう。
4.一方的な禁止よりも「一緒に決めるルール」が大切です
ゲームを強制的に終了させると、子どもが強く反発することがあります。
特にオンラインゲームでは、試合の途中で抜けられなかったり、仲間と約束していたり、セーブできる場所が決まっていたりします。大人が状況を知らないまま突然電源を切ると、子どもは「自分の大切なものを理解してもらえなかった」と感じるかもしれません。
一方で、子どもの希望をすべて受け入れる必要もありません。
保護者の関わりと問題のあるオンライン利用を調べたレビューでは、単純に厳しく制限すれば必ず問題が減るとは限らず、家族のまとまりは問題の少なさと、家族内の衝突は問題の多さと関係していました。研究上の限界はありますが、「何も関わらない」「怒って取り上げる」だけではなく、普段から話し合うことの重要性がうかがえます。
引用5:保護者の関わりと問題のあるオンライン利用に関するレビュー
おすすめなのは、次のようなルールです。
家庭で話し合いたいルール例
① やめる時刻と終了地点を決める
「20時に強制終了」だけでなく、「19時45分以降は新しい対戦を始めない」など、ゲームの仕組みに合わせて決めます。
② 終了前に予告する
「あと30分」「あと10分」と伝えることで、子ども自身が終わる準備をしやすくなります。
③ 寝室にゲーム機やスマートフォンを持ち込まない
夜間の利用を防ぎ、睡眠を守りやすくします。
④ 課金は必ず保護者と確認する
金額だけでなく、「なぜ欲しいのか」「買った後にどう感じそうか」まで話し合います。
⑤ 保護者もルールを守る
子どもだけに「スマートフォンをやめなさい」と言いながら、大人が食事中も画面を見続けていると、ルールへの納得感は下がってしまいます。
ルールの目的は、子どもを支配することではありません。
自分で楽しみ、自分で終わり、生活とのバランスを取る力を育てることです。
5.「何時間やったか」より、生活への影響を確認しましょう!
ゲームが好きなことや、休日に長く遊んだことだけで、すぐに依存と判断する必要はありません。
世界保健機関は、ゲームをコントロールできない、他の活動よりゲームを優先する、悪影響が出ても続けるといった状態が、生活に重大な支障を生じさせている場合を「ゲーム障害」としています。
引用6:世界保健機関によるゲーム障害の説明
注意したいのは、次のような変化です。
- 何度話し合っても、自分ではやめられない
- ゲームを優先して学校や習い事を休む
- 睡眠、食事、清潔などが大きく崩れる
- 課金やプレー時間について繰り返し隠す
- ゲーム以外の活動にほとんど興味を示さない
- 家族だけでは対応できないほどの強い衝突が続く
このような状態が続いている場合は、「意志が弱い」「約束を守れない」と責めるのではなく、学校や医療・相談機関などに相談することも大切です。
ゲームとスポーツは、対立するものではありません🤾♂️
ゲームには、目標を立て、状況を読み、仲間と協力し、失敗から再挑戦する面白さがあります。
これは、ハンドボールにもよく似ています。
ハンドボールでは、相手の位置を見て、パス、ドリブル、シュートの中から瞬時に行動を選びます。失敗したら、その原因を考えて次のプレーを工夫します。
ただし、ハンドボールにはゲームだけでは得にくい経験もあります。
全力で走ること。
相手の表情や身体の動きを読むこと。
仲間に声をかけること。
失敗した仲間を励ますこと。
悔しさを抱えながら、次のプレーへ切り替えること。
デジタルゲームと実際のスポーツをどちらか一方に決めるのではなく、それぞれの良さを生かしながら、生活全体のバランスを整えることが大切です。
これまでの「ハンドボールの魅力、伝えます!」シリーズでも、ハンドボールが子どもの判断力や主体性を育てるスポーツであることをご紹介してきました。
関連記事:子どもの「考える力」はどう育つ?
動画で見るハンドボール🎥
まとめ|ゲームを「取り上げる対象」から「学びの題材」へ
ゲームを完全に禁止すれば、すべての問題が解決するわけではありません。
一方で、子どもに任せきりにしてよいわけでもありません。
大切なのは、
- どのような内容のゲームかを知る
- ゲームで考えたことを会話にする
- 睡眠、食事、勉強、運動を守る
- 子どもと一緒にルールを決める
- 利用時間だけでなく、生活への影響を見る
という教育的な関わりです。
ゲームをめぐる親子の話し合いは、子どもが自分の行動を管理し、楽しみと責任のバランスを取る練習にもなります。
平塚ハンドボールクラブでは、子どもたちが自分で考え、仲間と協力し、失敗を恐れずに挑戦できる環境を大切にしています🤾♀️✨
現在、小学生・中学生の選手を、経験の有無を問わず募集しています。
「運動経験がないけれど、何か始めてみたい」
「ゲーム以外にも夢中になれるものを見つけたい」
「仲間と一緒に身体を動かしてほしい」
そのようなお子さまも大歓迎です。
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